2024.04.20

無責任な「首切り屋」が横行していることが、日本の発展を妨げている

沈没時に真っ先に保身を図る社長や幹部

2014年セウォル号沈没事故の船長・船員たち

まず、2014年のセウォル号沈没事故とはどのようなものであったのかについて見てみる。

例えば、AFPBBニューズ 2014年4月17日「『愛してる』『また会おう』、沈没する韓国船から届いた生徒らの声」が一つの象徴であろう。

このような状況の中で、乗客を置き去りにして、船長や船員がさっさと避難したことは強い非難の的になった。その結果、産経新聞 2015年4月28日「控訴審で船長に無期懲役判決 殺人罪認める 他14人の乗務員は全員減刑」となったのも当然といえよう。

by Gettyimages

この事故に限らず、船長(リーダー)・船員(幹部)が「最後の責任」を持つことが「組織のモラル」を維持するために必要不可欠である。船長(リーダー)が責任をとらない船(組織)に乗り合わせた乗客(従業員、組織の構成員)は不幸としか言いようがない。

また、リーダーの最も重要な仕事は「(最後の)責任をとる」ことであり、その「重要な仕事」に比べれば、その他の仕事は「些末」なものであるとさえ言える。

そして、現在の日本において、セウォル号船長のような「無責任経営者」がはびこっていることが、「日本の衰退」を招いていると考える。

会社という「船」が危機に直面し、従業員を大量にリストラするにもかかわらず、社長(リーダー)である自分自身が居座るということだ。

このような「無責任なリーダー」が支配する企業が、長期的に成長するはずがない。

 

また、2019年8月10日公開「日本の企業と社会を破滅させる『過剰コンプライアンス』のヤバイ正体」の副題「上司の保身で未来をつぶすな」で述べたように、経営者・幹部の保身が優先され「将来を見据えた大胆な攻め」を実行できなくなったことが、「日本企業疲弊」の原因だ。

結局のところ、「自身の保身に汲々とする『小物』」の経営者、幹部がはびこり、「責任を背負って企業の長期的将来を見据える『大物』の経営者が過去30年近くにわたって排除されてきた」ことが、日本企業弱体化の最大の原因だと言える。

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