2024.04.20

「資本主義」よ、さらば…! まもなく「お金を稼がなくても暮らしていける世界」がやってくる

「お金を稼がなくても生きていける世界はつくれるのか?」――。こんな資本主義経済の“急所”をつくような大胆な問いに、いま果敢に挑むプロジェクトがある。「ハートランドプロジェクト」と呼ばれるものがそれで、「哲学×ブロックチェーン」で贈与経済をアップデートしようとする試みだ。

発起人は慶応義塾大学文学部教授の荒谷大輔氏。哲学・倫理学の専門ながら、冒頭の問いを机上の空論では終わらせずに、ITエンジニアやプロジェクトマネージャーなどさまざまな専門家を巻き込みながら社会実装を進めている。

実は今春から、東京・高円寺と石川・白峰の2拠点でトヨタ財団の支援を受けた「贈与経済2.0」の実証実験が始まる。前回前々回の記事では「贈与経済2.0」の仕組みを見てきたが、では、「お金を稼がなくても生きていける世界」が実現するとき、実際にそれはいったいどういう世の中になるのか――。著書『贈与経済2.0』(翔泳社)から紹介しよう。

 

資本主義経済「一択」の社会で、いいのか…?

私たちが「近代社会」と呼ぶものはほとんど資本主義経済の浸透によって実現しているのでした。

「自由」「平等」「民主主義」など「近代社会」を特徴づける概念はたくさんありますが、それらはすべて資本主義経済のシステムとして実現したものでした。

ルソーによる「もうひとつの近代社会」の構想を別にすれば、「近代社会」とは自由競争と奴隷解放、市場原理の徹底としての「道徳の民主主義」を意味するものと考えることができたのです。

つまり、ある意味で「近代社会」と呼ばれるものは、すべての人々が資本主義経済にコミットすることで実現するものだったということができます。

別な経済の中で生きる選択肢ができることで、その枠組みはどう変化しうるのでしょうか。

SPONSORED