2024.04.20
# ライフ

「息子と毒嫁に騙された…」夫に先立たれた67歳女性がハマった「二世帯同居」の落とし穴

株式会社LIFULLによる「二世帯同居、うまくいく家いかない家【二世帯同居調査1】」によると、二世帯同居が「非常にうまくいっている」という人は22.8%。「ややうまくいっている」(42.2%)まで含めると、65.0%に達したという。想像よりも多くの家庭が順調な二世帯同居生活を送っているようだ。

この調査でさらに興味深いのは、「住宅の共有状況」によって、二世帯同居が「うまくいっている」と感じる人の割合に違いがあること。親世代・子世代の居住空間が「完全に独立している」人のほうが、住居を一部でも共有している人に比べて「非常にうまくいっている」と答えた割合が多いのだ。

親子であっても生活スタイルが異なっている以上、住居を同じくするとストレスがたまっても不思議ではない。二世帯同居には周到な準備とお互いの距離感が必要だと思わされる調査結果だが、現実にはなし崩し的に同居に踏み切る人もいて……。夫を亡くして、息子夫婦と同居することになった、ある女性の事例を見ていこう。

入院するほど落ち込んだ夫の急死

女性が夫に先に死なれたあと、どうやって生きていくかは大きな課題だ。家があって年金がしっかり入れば最低限の生活はしていけるはずなのだが、「寂しいから誰かと一緒に暮らしたい」と思うと、大きな落とし穴があることも。それが息子一家だと逃げ道がなくなってしまう。

二世帯で住むなら、用意周到に準備をする必要がある。「息子任せ」にすると後悔することになりそうだ。

「私が60歳のとき、5歳年上の夫が亡くなりました。定年後、嘱託として働いていて、65歳でそれも辞める直前だった。これからはふたりであちこち旅をしようと話していた矢先でした。私はショックのあまり葬儀後、入院するほど落ち込んでしまいました」

ジュンコさん(67歳・仮名=以下同)はそう話す。結婚30年と、夫の二度目の退職を祝おうと、ふたりはレストランを予約していた。そんなとき夫が、突然、還らぬ人となったのだ。出勤途中の駅で倒れて救急搬送され、一度も意識を取り戻すことなくその晩、亡くなった。脳卒中だった。

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「一度も入院したことがないほど元気な人で、ふだんから運動もしていた。優しい人でした。ケンカもしたことはありませんでした。私が何かちょっと文句を言うと『ジュンコは笑っていたほうがいいよ』と、私の大好きなコーヒーをいれてくれる。

ごまかされてしまう感じはあったけど、もめごとになる前に火消しをするタイプだった。すぐにおちゃらけて周りを笑わせる天才でもありましたね」

社内恋愛で結婚したふたりだが、当時の慣習に従ってジュンコさんは寿退職。31歳で男の子を、34歳で女の子を産んだ。基本的にはワンオペ状態だったが、「キャリア志向だと思っていた自分が、意外にも子育てにはまった。ちっともつらくなかった。毎日、子どもと一緒にいたくて幼稚園にも入れたくなかったくらい」と言う。

夫が亡くなったとき、同居している息子は29歳で婚約者がいた。娘は26歳、地方の大学へ進学して、そのまま現地で就職していた。息子の結婚を目にできなかったことが、夫の心残りだったかもしれないと彼女はため息をついた。

「夫も早く見たかったでしょうから、別に喪に服することもない。予定通り結婚しなさいと言って、半年ほどで息子は結婚式を挙げました。相手は息子より3歳年上のマナミさん。明るくてはきはきしたいい人。

ふたりは私が寂しいだろうから近所に住むと言ってくれましたが、ふたりの都合のいいところに住みなさい、私のことは心配しないでと伝えました」

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