中東懸念の株価下落は買い場到来か!?

中東懸念の株価下落は買い場到来か!?

まぁ、結構な騒ぎになっているイスラエルーイラン問題。昨夜1本のブルームバーグの記事から・・・と書いたけれど、実際にレバノンのヒズボラからイスラエル領内に約40発のミサイルが発射されたことが、火に油を注ぐ結果となったらしい。

マーケットが引けて直後に、バイデン大統領が「イランが(間もなく)イスラエルを攻撃する可能性があるとし、イランに対し攻撃を「やめろ」と警告した。バイデン大統領は記者団に対し、米国がイスラエル防衛に全力を尽くしているとし、イランの攻撃は「成功しないだろう」と語った。バイデン大統領は、ロシアのウクライナ侵攻に際しても事前に情報をリークしまくったという過去があるので、今回もマーケットに相当影響を与えるかもしれない。

WSJはブルーム報道の直後に「イスラエル政府が24~48時間以内に南部か北部にイランから攻撃があると想定して準備している」と報じたことが、下落を助長した格好。

それに対して、ロイターがイラン関係筋の話として、「イラン外相が米国に対し、本格的な緊張の激化を避けるやり方での報復とする、との意向を伝達した」と報じたことで、IEAの原油需要減速報道と相まって、やや安心感が出たWTI原油は$87.62まで上昇した後に売り物に押され$85.33と$2以上下落して引けた。

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さてさて、いつもながら拗れに拗れてる中東情勢だけど、今回の場合拗れる原因はガザ地区の戦闘において、イスラエル、ハマス、両陣営にそれぞれ正義・不正義が同居してて、決着がつかない(判定できない)ということだよね。いつもなら、メディアがロシアを責めたみたいに一方的に報道するけれど、今回はそれが出来ないからね。イスラエルはハマスが昨年音楽フェスティバルでいきなり攻撃的な残虐行為に出たことへの報復としてガザ地区への侵攻を始めたわけだけど、実際にはパニックに陥ったイスラエル軍の守備隊が、観客を無差別に殺害したという事実がある。誰がハマスなのか分からず、走って会場から逃げている観客以外は疑わしいということで、殺害しまくった。

一方事件当初の西側報道ベースでは、ハマスは過激組織であってイスラエル人に残虐行為を行ったということになっている。けれども現実には残虐行為はパニック状態のなかで双方が行ったというのが正解で、イスラエル軍の方が圧倒的に多人数を殺害しているのだ。

それまでイスラエルはヨルダン川西岸地区(パレスチナ領土内)へ入植を繰り返し、入植先でパレスチナ人に対し慢性的な残虐行為を繰り返してきたという遺恨もあって、元来政党であったハマスはイスラエルに対抗するために軍事組織へと変革していったわけで、ヨルダン川西岸地区への入植に対抗してガザ地区の支配を強化したという経緯がある。

そのハマスに対し軍事的・経済的支援をしてきたのはカタールであって、イラン革命防衛隊も関与してきたとされる。その革命防衛隊は、シリアのヒズボラ、イエメンのフーシ派に対し軍事援助を行って、イスラム・スンニ派を抑え込みイスラム革命を起こすというイラン・シーア派の先兵としたわけだが・・・。イランはスンニ派最大勢力のサウジと国交回復してイスラム革命の矛先を変えざるを得なくなった。だとすれば、パレスチナ支持を打ち出し、イスラエルをパレスチナの地から追い出す、という目的しか残らなくなったわけだ。

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ヒズボラもフーシ派も、昨今では過激組織から軍事的組織の色合いを強め、イスラエルに対峙することを目的としているわけで、イスラエルもそのことを良く分かっている。そしてこうした複雑な背景の中で米国が暗躍していることが問題でもあり、またある意味紛争の抑止にもつながっていることも否定できないのだが・・・。

つまりイスラエルは常日頃から入植と称してパレスチナ人の土地・建物を一方的に接収し、抵抗したパレスチナ人を無暗に殺害してきた。ハマスはイスラエル国土の内側にあるガザ地区を支配し、今回近隣で開催されていた音楽フェスティバルで報復に出た。つまり公平にみてどっちもどっちなんだよね。ネタニヤフ首相はそこにイランの脅威という考え方を持ち込み、ガザ地区でパレスチナ民間人をこれまで3万人以上を殺傷し、破壊の限りを尽くしてる・・・。ハマスはいまだに外国人を含む人質をとり抗戦を続けてる。そのハマスを後方から援護しているのがシリアのヒズボラであり、イエメンのフーシ派であるし、そのバックにはイラン革命防衛隊の存在があるという構図。

そんな中で4月1日、イスラエル軍はシリアのイラン大使館を爆撃し、同時にPKOのガザ地区への食糧支援隊も攻撃し阻止した。国際法上、他国内の大使館、領事館は本国同等の権益が認められているから、イランへの直接攻撃と同義となるわけで、これに対して我慢して報復しない、という考え方は国際社会ではあり得ないんだよね。イランは本格的な緊張の激化を避けるやり方での報復をすると思うけど、今度はネタニヤフ首相がこの報復に対し我慢できるかどうかってことになる。

以上のことから、中東問題で白黒判断をすることは不可能だし、個別事案を判断して白黒つけることもあまり意味があるとは思えない。したがって、経緯を見守りながら、株式市場にどういう影響が出るかを判断してゆくしかない。いずれにしてもこうした場合は、「いい押し目」になることが多いと思うのでね。週明けはみんな買い場探しをするかもね。

でも問題は日曜日の状況次第かな。