高血圧、高血糖、高コレステロールの治療を断った人の「その後」

それでも後悔はしていない

加齢に伴う不調をすべて治そうとしたら、無理が生じて当然だ。治療を断れば代償も伴うが、それでも、自ら断った人たちは後悔していない。

前よりも元気に

「2年前、『最近、視界がぼやけて、ものがよく見えなくなった』と感じ、メガネを作り直すために眼科を訪れたら、白内障の恐れがあると告げられました。70を過ぎた頃で、加齢のせいだと思っていました。

その頃、私は3種類の降圧剤を飲んでいたので、いつものように薬をもらいに近くの開業医のもとを訪れた。先生に白内障のことを告げると、『降圧剤を飲んでいる高齢者は、白内障になることがあります』という一言で片づけられたのです。

 

自分が処方している薬の副作用かもしれないのに、あまりに無責任で耳を疑う発言でしたが、その場で『降圧剤のせいで白内障になったということですか』と問いつめるわけにもいきませんでした」

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自らの体験をこう語るのは、田中敏夫さん(仮名、73歳)だ。これ以上医者の言うことを聞いて、症状が進行したらたまったものではないと思い、ある決断をした。

「3種類出されていた降圧剤のうち、2種類の服用をやめてみたんです。すると、体がだるい、食欲がないといった、これまで原因不明だった不調が改善しました。

幸い、白内障の手術も簡単に済み、前よりも元気になったくらい。いまでは上の血圧が145。以前は120台にまで抑えていましたから、だいぶ上がりましたが、年相応の血圧でいいんじゃないかと考えています」

加齢とともに、薬が害になるケースは増えていく。新潟大学名誉教授の岡田正彦氏は、「血圧の薬は、75歳を過ぎたら、いかなる理由があっても飲まないほうがいい」と断言する。

「加齢とともに血管は細くなるため、血圧を上げないと全身に血液が回らなくなります。必要があって上がっている血圧を薬で無理に下げたら、不調が出て当然。これまで血圧が高くとも問題がなかったのなら、血圧は高くてもいいのです」

しかし、多くの医者は加齢なんてお構いなしに薬を増やしていく。医者が無駄な薬を減らしてくれないなら、自分から断るしかない。とはいえ、医者が勧める治療を断るにはかなりの勇気が必要だ。あえて病院の治療を断った人たちはその後、どんな生活を送っているのか。

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