安定した価格と高配当利回りでひそかに人気となっている「インフラファンド」をご存じでしょうか。ETFやREITとも違う、インフラファンドの仕組みやメリット、注意点について紹介します。

インフラファンドの分配金利回りは6%超えにもなる

インフラファンド,メリット,デメリット
(画像=Diyana Dimitrova/Shutterstock.com)

インフラファンドとは、太陽光発電施設などのインフラ施設を投資対象とするファンドのことです。東証一部市場に上場しているので、他の株式と同じように取引時間中に売買できます。その魅力は、何といっても分配金利回りが高いこと。現在上場しているインフラファンドとその利回りは以下の通りです。

・インフラファンド一覧

ファンド名 予想分配金利回り
タカラレーベン・インフラ投資法人<9281> 6.32%
いちごグリーンインフラ投資法人<9282> 5.70%
日本再生可能エネルギーインフラ投資法人<9283> 6.41%
カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人<9284> 7.17%
東京インフラ・エネルギー投資法人<9285> 8.16%
エネクス・インフラ投資法人<9286> 6.51%

※数値はいずれも2019年7月3日時点

日経平均全体の平均配当利回りは2.27%ですから、インフラファンドの利回りの高さが際立ちます。

インフラファンドは収入が約束されている

オフィスビルやマンションなどの不動産を投資対象とする上場ファンドとしてREITがあります。REITは多くの投資家からお金を集め、その金を不動産に投資する仕組みです。インフラファンドもREITとほぼ同じ仕組みで、投資対象がインフラ資産になっただけといえます。インフラ資産とは、太陽光発電などの再生エネルギー発電設備のほか、公共施設、道路、空港、鉄道などが一般的です。

実際のところはどのファンドも太陽光発電のみで運用されていますが、将来的には他の再生可能エネルギーへ投資する方針を打ち出しているファンドもあります。インフラファンドの魅力は配当利回りだけでなく、価格の安定性にも注目しましょう。なぜなら再生可能エネルギーの固定価格買取(FIT)制度を利用して電力の売却を行っているからです。

FITとは簡単にいえば、「発電した電力を、20年間にわたって固定価格で電力会社が買い取ることを、国が保証する」という制度です。20年間同じ家賃が必ず入ってくると、国にお墨付きをもらったビジネスなのです。そのため、インフラファンドの収益は極めて安定しています。ファンドのなかには、今期や来期だけでなく2026年までの予想分配金を公表しているところもあります。

5年先を予想できるほどに収益が安定しているということです。なぜ、そのように安定収益が期待できるファンドが、高い利回り(=低い価格)なのでしょうか。それは、インフラファンドには利益に対して実質的に法人税を課税しない「ペイスルー課税」が適用されているためです。また、インフラファンドは土地代の安い場所に建設され、物件価格に占める設備の割合が大きくなります。

その設備投資額を20年にわたって減価償却していくので、会計上の利益は少ないものの実際に手元に残る資金は多くなります。その資金を「利益超過分配金」として分配しているため、利回りが高くなる傾向にあるのです。さらに、「一般の事業会社のような急成長は期待できない」「将来の不透明さがある」といった点も、「低価格=高配当利回り」の要因と考えられます。

FITが終了するリスクもある

インフラファンドにも、いくつかのリスクがあります。まず地震や噴火などの災害リスクです。これに対しては各ファンドが保険や積立で準備しているので大きな心配はいらないといえます。次に価格変動リスクです。インフラファンドの価格は安定しているといっても、株式と同じように市場で売買されるものなので、当然ながら価格は変動します。

そもそも取引量が多くはないので大きな注文が入れば、価格が大幅に上下することもあります。そして政府がFITの終了を検討している(と報道されている)こともリスクの一つです。もしFITが終了すれば、新規に開発する発電所の買取価格は大幅に下がることになり、将来的にファンドの収益が低下する可能性があります。

リターンを得ながら環境問題にも貢献

リターンが大きければ、リスクも大きいというのが投資における常識です。しかしインフラファンドは、国の制度という裏付けがあるために、現在のところはリスクが大幅に抑えられているといえます。今後のFITの動向に気を配る必要はありますが、安定的なリターンを得ながら地球環境問題にも貢献できる投資対象として検討してみてはいかがでしょうか。(提供:YANUSY

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